本部よりお知らせ

第45回鹿児島県消防職員意見発表会において「優秀賞」を受賞しました。


総務課

令和4年4月8日(金)に開催された第45回鹿児島県消防職員意見発表会において、当消防組合から出場した、東部消防署の坂中和眞消防士長が「優秀賞」を受賞しました。

第45回鹿児島県消防職員意見発表会は、県内の各消防本部から選抜された職員が、業務に対する提言や取り組むべき課題等について自由に発表し、消防業務の諸問題に関する、より一層の知識の研鑽や意識の高揚を図ることを目的として開催されているもので、今年度は薩摩川内市のSSプラザさつませんだいにおいて感染対策を実施しながら開催されました。

発表会では県内各消防本部の代表18名が、日頃の業務で感じた疑問等から、救急救命のあり方、女性が輝ける職場環境づくり、市民への防災教育など様々なテーマで発表を行いました。

発表内容は、「いつか来るその時のために」と題して、防火対象物の規模の大小問わず、防火訓練・消防設備点検・救急講習を実施することで、人命を守るために必要なことを伝え続けることができ、多種多様化する災害が発生した際に、それまでの取り組みが地域を救う手助けになることを提言しました。

 

※消防職員意見発表会組合選考時の様子

「いつか来るその時のために」

大隅肝属地区消防組合 東部消防署

  消防士長 坂中和眞

 消防法第八条第一項。この条文は、私たち消防職員が仕事をする上で欠かすことの出来ない消防法の一つです。

ここには、「一定規模の防火対象物は、管理権原者が防火管理者を選任し、消火、通報及び避難の訓練を実施させなければならない。」とあります。つまり、全ての事業所、店舗に防火訓練が義務付けられているわけではなく、あくまで「一定規模」に該当するもののみに防火訓練の実施義務が生じているのです。

皆さんは、このことに疑問を感じませんか。事業所で働く人々、店舗を利用するお客さんの安全を守るためには規模の大小を問わず、防火訓練が必要だと思いませんか。例えば、飛行機が墜落する確率は、0.0009%。限りなくゼロに近いと言われていますが、火事に遭遇する確率は4.82%だと言われています。飛行機が安全に飛ぶためには航空法で定められたルールをクリアし、パイロットは長時間操縦訓練を重ね、整備士はネジ一本にまで気を配る整備をします。さらに人命を守るための訓練を定期的に行います。この取り組みが0.0009%という数字を生み出すのです。私はこの話を知った時、人命を守るためには、規模の大小を問わず、防火訓練をするべきだと思いました。

そこで私は「3ポイント制優良防火対象物認定制度」の導入を提案します。この制度は、防火訓練の実施、消防用設備等の点検結果報告と適切な維持管理、救急講習の受講でポイントを獲得するポイント加算積みあげ方式による優良認定制度です。この制度を導入することは、安心安全に関わる3つの効果が見込めます。

1つ、規模の大小を問わず、全ての事業所、店舗が防火訓練の実施に前向きになること。アスリートが練習を重ね、結果に結びつけるように、防火訓練も行えば行うほど緊急時の対応が迅速、的確になります。

2つ、火災が起きた場合、消防用設備等が正常に作動すること。点検結果報告を行うことで不良箇所を発見でき、早期に改修できれば、被害の軽減に繋がります。

3つ、救急に関する知識と技術が身に付くこと。救急講習を受講することで、命の危機に直面した際に適切な対応ができ、人命を救うことができます。

この3ポイント制優良防火対象物に認定されれば、出入口に認定ステッカーを表示し、ひと目で分かるようピーアールします。さらに、消防組合や構成市町が発行する広報紙等を活用して、3ポイント制優良防火対象物認定制度と、その認定を受けた防火対象物を広く周知することで、利用者は安心安全な防火対象物を積極的に利用しようと思うはずです。安心安全に関わる3つの効果が得られるだけでなく、集客効果まで見込めるとなれば、この制度は必ず普及すると私は確信します。

私たち消防職員も、防火訓練や救急講習に今まで以上に力を注ぎ、人命を守るために必要なことを伝え続けることで、安心安全な街を共に築いていけるのではないでしょうか。近年、襲い掛かる災害は多種多様化しています。人間の力では防ぎようのない災害ばかりかもしれません。いついかなる時に遭遇するかも分かりません。しかし、それまでの私たちの取り組みが、その時の私たちを救ってくれるはずです。備えましょう。いつか来るその時のために。