本部よりお知らせ
【快挙】!!県内初!!第44回全国消防職員意見発表会で「最優秀賞」を受賞
全国各地域での選考を突破した10名の消防職員で行われた第44回全国消防職員意見発表会で、中央消防署の甫村亮消防副士長が、「最優秀賞」を受賞しました。
発表会は全国消防長会主催で毎年開催され、消防職員が業務に対する提言や取組むべき課題などについて意見を述べるものです。今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、動画による発表形式で行われました。なお、全国大会出場、受賞は鹿児島県内から初めてとなりました。
結果報告
第44回鹿児島県消防職員意見発表会
・県内20消防本部から代表者が20名出場 結果:最優秀賞
第44回九州地区消防職員意見発表会
・九州各県の最優秀賞受賞者が8名出場 結果:最優秀賞
第44回全国消防職員意見発表会
・全国9支部の最優秀賞受賞者が10名出場(関東支部は2名) 結果:最優秀賞
発表テーマは、「瞳が輝く子どもたちと共に」と題して心肺蘇生法の実施率を上げるため、学童期から教育する必要性を訴え、教育機関と協力し救命の連鎖を確立するというものです。
全国消防長会HPでの発表動画の視聴もできます。
発表内容は以下の通りです。(全文)
「瞳が輝く子どもたちと共に」
大隅肝属地区消防組合 甫村 亮
「あなたはLEDをお願いします。あっ、AEDだったぁ。」
と冗談半分で、響き渡る笑い声。
これは、ある施設に、救急講習に行ったときの一部の光景です。
総務省の統計を見ると、現在、現場に居合わせた住民が行う、心肺蘇生法の実施率は、全国平均で約五十八パーセント。中には、七十パーセントを超える県も複数あり、我々消防の、普及啓発活動の成果として、バイスタンダーの育成は、着実に進んでいると考えられます。
しかし、私たちはこの数字に満足しても良いのでしょうか。
私は、心肺蘇生法に関する学びの場と、学ぶ時期を工夫することで、より質の高い、多くのバイスタンダーを生むと考えます。
ほとんどの住民が、初めて心肺蘇生法に触れる時期が、自動車学校での「応急救護」の教習ではないでしょうか。その他に、職場や町内会で受講する救急講習などで、社会人になってからが大半です。
私が講習を見てきた中で、真剣に取り組む大人も多数いました。しかし、恥ずかしげで消極的な大人、面白おかしくふざける大人、正直、何のために受講しているのだろうと考えさせられる場面もたくさん見てきました。
そこで、私はあることを思いつきました。
素直で、チャレンジ精神があり、学習意欲がある、義務教育期間の子どもたちに、心肺蘇生法に関する学びの場を与えるのです。
私たちは学童期に、読み書き、計算などを反復して学習し、それらは、私たちの生活の中で、欠かすことのできないものとなっています。
私は、それらと同じように、心肺蘇生法も、誰もが生活の必須アイテムとして、有事の際に、必然的にできるものであって欲しいと考えます。
実際に企画して、管轄地域の小学生にモデルとなってもらい、五年生の三学期から六年生の三学期までに、四回に渡り、心肺蘇生法に関する授業をさせて頂きました。
初めて学ぶ命の授業に、初めは戸惑いがあり、不安そうな顔で、
「私に心臓マッサージなんてできるかなぁ。」
とネガティブな言葉が飛び交う教室。しかし、授業の進行と共に輝きが増す子どもたちの目に、私は圧倒されました。
DVDによる学習を終え、
「胸骨圧迫の注意点は何がありましたか。」
と質問すると、約八割の子どもたちから、
「深さは五センチから六センチです。」「胸骨の下半分を押します。」
と次々に返答され、逆に、
「なんで胸骨圧迫は三十回もしないといけないんですか。」「AEDはどんなところにあるんですか。」
と前のめりになりながら、質問をくれる子どもたちを見て、この授業は必ず意味がある。この企画をもっと、もっと、広めたい。子どもたちからより一層、この企画への強い手応えを抱きました。
胸骨圧迫の手技に関しては、体格により押す深さがどうしても足りない子どももいます。
しかし、心肺蘇生法の必要性と手技のポイントは約七割の子どもたちが理解しており、高校生になる頃には、立派なバイスタンダーになっていると確信しています。
消防行政と教育機関が手を取り合って、「義務教育期間における、救急講習を義務化する」という、新たなプログラムを構築することができれば、更に住民による心肺蘇生法の実施率は上がることでしょう。
いつ、どこで、何が起きても、その場に居合わせた住民の処置から、私たち消防へとバトンが渡り、救命の連鎖が確立する。
一人一人が繋がり、もっと笑って暮らせる社会。そんな明るい未来を作りたい。
瞳が輝く子どもたちと共に。
令和3年9月6日(月)に大隅肝属地区消防組合管理者(中西市長)による表彰伝達式並びに管理者表彰式を行をいました。
管理者(中西市長)から、「是非、管内の教育機関と連携し、バイスタンダーの誕生につなげ、一人でも多くの人が安心して生活できるよう取り組んでいただきたい。」と祝福の言葉を頂きました。
管理者(中西市長)を始め関係者、職員の前で意見発表を披露する甫村亮副士長